クライアントはなぜ「変更・修正」するのか?
デザイナー泣かせのクライアントは様々あります。 一番多いのは「変更修正」が多いというクライアントではないでしょうか?
「変更」と「修正」は基本的には違うのですが、ここでは「作業が増える」という意味で同等に扱います。
デザイナーは、変更や修正と日夜戦っているといっても過言ではないと思います。その「変更」が無くなれば、どれだけクリエイティブな仕事に時間を割けるでしょう? とっても時間の無駄です。
そこで、まず「変更」の多いクライアントについて少し掘り下げてみましょう。
「変更」が多いクライアントのパターンとしては、クライアントの組織の問題、担当者の問題、クライアントの業界の問題などに分けられます。
「変更・修正」は組織的な問題 消極的解決法
まず、クライアントの組織が問題となる場合。
これは、よくあるパターンで「組織内での情報の伝達に問題がある」ということに 尽きます。
デザイナーがいくら頑張ってプレゼン、提案しても正しく真意が伝わらないため的はずれな決定や変更が下される状態です。
単純にいうと部署間の風通しが悪い、セクショナリズムが横行している組織だということです。
デザイナーにとって、この問題は解決不可能に見えます。そのため、営業担当者に事態の打開を頼むしかないのですが、 これはかなりハードルの高い問題ですから、営業担当の能力に依存することになります=大体期待できない。
デザイナーサイドとして注意できる点としては、制作に入る前にクライアント担当者の 権限がどこまであるか?を見極めることぐらいでしょう。
唯一解決できるかもしれない方法として、中央突破方法があります。 これは、クライアントの最終決定者にアポを取り直談判する方法です。 気合いと度胸が必要な上に、クライアント内に敵を作るばかりなので、 お勧めはしません。 但し、(上手くいけば)仕事は最速最短で済むでしょう。(笑)
「変更・修正」は担当者の問題 その解決方法
「変更が多い」この問題で一番多いと思われるのが担当者の問題でしょう。 ただ、これが一番なんともならない!と感じているかもしれません。
デザイナーは、そもそも人付き合いが上手くないタイプの人が多いのです。それなのに、難儀なタイプの人間の相手をしなければならない…。これはもう、苦痛以外の何者でもないですよね。
ただ、ここは自分がデザイナーとして一皮剥けるために、越えなければならない 壁なのです。ひとつ頑張って克服してみましょう。
さて担当者の問題といっても様々です。そのためここでは、一般的な対応方法を記してみます。
デザイン請負業も基本的に、ビジネスですからフェアさが求められます。フェアとは、約束を守る ということに他なりません。
そこで、先にスケジュールを用意しましょう。ラフや原稿や校正の提出時期を決められるのはデザイナーですし、その中に原稿の用意や、チェックバックのタイミングを挟む事も自然な流れです。ただしこれは、当初にお互いによく話し合い同意しておく必要があります。 お互い同意の上での予定ですから破るということは、ビジネス上ルール違反となります。
デザイナーがクライアント担当者に対して、スケジュールを出すということは 実は主導権を握るということでもあります。 しかも、デザイナーとクライアントが共に確認したスケジュールというのは、ある種の契約書にもなりえるのです。
と言っても違反した場合には、ペナルティこそありません。ですが、スケジュールの帳尻を合わせをする際に立場が弱くなるのは違反した側なのです。
クライアント側の担当者が、一般的な人である場合この理屈は非常に有効です。
「変更・修正」は担当者の問題 スケジュールで逆に縛る
そして大事な事は、あくまでスケジュールに固執する態度を「あなた」が取る事です。 なぜなら、その態度こそスケジュールを契約書に格上げする行為だからなのです。
スケジュールを、クライアントの担当者にだす。 この行為自体は「変更」をさせない事に直結しているわけではありません。 ただ、スケジュールという契約があると、心のブレーキにはなり得ます。
また、ひと言「上司の方にも見せておいてくださいね」と添えておくと、より効果的です。
ここで「スケジュールなんていつも無視されているよ!」という意見がでるでしょう。
しかし、そのスケジュールはデザイナーが作ったスケジュールですか? 担当営業がでっち上げたものではないでしょうか? 往々にして、営業マンが作るスケジュールは、クライアント事情ばかりを考慮したもの になっているはずです。
そんなスケジュールでは、負担はデザイナーにかかるばかりです。 おまけに、クライアントとすりあわせをされていないスケジュールが多々あります。 デザイナーがスケジュールを決めましょう。
その際には、もちろんデザイナーが有利になるように作ることが基本です(笑)
「変更・修正」はクライアントの業界に問題あり…の場合
「変更・修正」が多いのは、クライアントの業界に問題がある場合もあります。
不動産業界などは、中古不動産が動く月曜日に原稿の差し替えをしたり、
流通業界では、締め切りぎりぎりまで内容が決定しなかったり、
旅行会社関連では、旅行代金が最後の最後まで決まらなかったりします。
これはもう、当初から分かっているはずの問題のはずなのですが、それを当然のごとく 振り回すクライアントが少なからずあります。しかしここでは、スケジュール攻撃もあまり効果はありません。
そこで、デザイナーとしての対処方法なのですが…はっきり言って特効薬はありません。
もし、この手の仕事を受けなければならない場合、その業界の情報を出来るだけ集めるようにしましょう。 一度経験するか、それとも徹底的に避けるか…?
私は、徹底的に避けました…ハイ。ただ、ここに挙げている以外の極悪案件の経験はたっぷり経験しましたが。。。
まとめ 「変更・修正」の原因は以外に深い
デザイナーの敵「変更・修正」について、その原因によっていくつか分類し 解説してきました。
「変更・修正」を減らす、無くすためにはデザイナー自身が冷静になって 仕事を俯瞰するする必要があります。(一歩引いて見るということですね。) 一番まずいのは「変更・修正」が多いという現象面ばかり追う事です。
目の前の現象ばかりを追うと、解決から遠ざかります。 ここまでに書いたように「変更・修正」の原因は以外に深いところにあるのです。そのためにも、冷静に見つめる必要があるのです。
また、一歩引いて冷静に捉えるという行為は、デザイナーのスキルとしても必要なものです。ぜひ身につけましょう。 また「変更・修正」の原因で一番多いのは、事前の仕事の詰め方にあります。 準備不足や、不明点の放置など詰めが甘いと必ず、後が大変になります。
デザイナーの経験を積み、段取りが非常に上手く、早い段階で仕事の主導権を握る という技を持つ…ができれば中級者以上であると自信を持ってください。