アイデアのテンプレート 4 「なんでも組み合わせてみる」

今回の手法「なんでも組み合わせてみる」はシュールレアリズムという運動で歴史的先達がおられますので、その方々を中心に解説と紹介をします。

まずは、これ。

ルネ・マグリットです。

ともかく今から百年前にこんな絵を描いていたのですから、ぶっ飛んでいます。

まず1番はこの組み合わせが今回の教材です。
組み合わせ素材は別に変わったところはなく、帽子をかぶった男と鳩です。
でもインパクトがあるのはそのレイアウトです。
素材がふつうでも、置き方ひとつでこれだけ違うという好例です。

広告でも時代を超えて使われていますよね。
ワザとタレントの顔の上にコピーを乗せる。商品を乗せる。

素材は普通(失礼!)でも、置き方でインパクトが出るのです。




そして下の作品。これもマグリット先生です。
どちらかというと、こちらの方が有名かな?

男女がいます。でも‥袋のようなものをかぶっています。
この状況でキスをしています。

異常です(笑)

これも組み合わせ素材は普通ですが「それはないやろ」状態です。
ずいぶん昔に石岡英子AD(今は鬼籍に入られたようです)が、広告のビジュアルで使ってました。

ちょっと考えれば実写で実際にできるビジュアルです(コンピューターも使わずにね)
でも、それを最初にやった石岡先生は偉いと思います。
ともかく普通の素材で「それはないやろ」状態を作り出すことは可能です。
普通なだけにインパクトが強いものが期待できます。

余談ですが…
マグリットという人は、幼なじみの女性と結婚して3LDKのアパートにポメラニアンと一緒に住み、毎日規則正しく生活し、健康的に夜10時には寝るような生活ぶりだったそうです。
制作風景も服や床に絵の具を飛ばすことなく、手際よく描いていたそうです。
そしていつもスーツ姿だったそうです。もちろん制作時も‥
作品より、ご本人がいちばんシュールだったかもしれません。

次はマン・レイという人です。

私にはフォトグラファーの印象が強いのですが、他にも色々つくってたようです。

で、上の作品はちょっと微笑ましいビジュアルですね。写真に描き込むだけですがたったそれだけでこうも印象が強く残るものなんですね。
犬に眉毛を描くというのも同列です。(こんなこと言うと、どこからか石が飛んできそうですが)


下の作品も空に唇が飛んでいるだけですが、これは効果を得るために、ちょっと構図やらなんやらのテクニックを使ってます。


しかしマグリットにしても、マン・レイにしても(今回あげた作品は)あまり凝らずにシンプルに表現しています。

ぶっちゃけいうとアイデア一発芸ともいえます。
しかし、これを色々な素材でゴチャゴチャにしてゆくとインパクトが失われ、なんだかよく分からなくなります。
なんでもそうですが、基本はシンプルに。大前提です。

で、次
一つ目はマルセル・デュシャンという人です。

これは題名「階段を下りる裸体No.2」といいます。
ちょっと、何言ってるかわからない(笑)

でも、実はこれも組み合わせなのです。

題名通り階段を人体が下りてくる様子が描かれてあります。(女とか裸体とかは不明ですが。笑)

上から下まで階段のステップを踏んで下りてくる動きを連続して描いたのです。

つまり、時間の移ろいを主題と共に一枚の絵の中に組み合わせたのです。

今から百年前ですから、ビデオはもちろん映画すら怪しい時代です。その時代に連続コマ送りを思いついたのですから、その発想自体すばらしいと思います。
(もうちょっと他に描きようがあるだろ!というツッコミは置いておいて…)


そしてこちらはパブロ・ピカソ。
ピカソ先生は、このパターンの女性の絵が多いのですが、これも組み合わせ手法のひとつです。

これは、女性の顔を多方向からみた絵を組み合わせています。この絵でいうと、向かって右半分が横顔ですね。左は正面です。

あまりに美しい女性だから、様々な角度から描きたいという欲求がこの方法を生んだ‥

と中学の美術の先生は言ってました。「変な絵」という言葉でくくるのは簡単ですが、世で賞賛されているのにはやはり意味があるのです。

また、この発想を特に写真などでやった広告は数多いのです。探してみてください。

こっそりみんなやってます。

と、今回は現代美術の解説みたいになってしまいましたが、組み合わせの色々をご紹介してみました。
主題が弱いな…とか、もっと違ったインパクトが欲しいな…とか思った時に試してみると良いかと思います。

もっとも、過去に組み合わせのサブの方が強烈すぎて、主題が霞んでしまうという事態はよくありました。
特にCMなどでタレントが強烈すぎて、「商品…なんだっけ?」というパターンは数限りなくあります。
ですので、組み合わせる際には合わせるものをよく吟味してから使うようにしましょう。

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